先日の伊勢志摩サミットにて、安倍首相は「世界経済はリーマンショック並みである」という趣旨の発言を行いました。

はたして現在の世界経済はリーマンショック並みに悪いのでしょうか?

リーマンショック並みな根拠


安倍首相が「世界経済がリーマンショック並み」である根拠として示したのは以下の資料です。

・原油をはじめとした「国際商品価格」がリーマンショック並みに落ち込んでいること
・「新興国への資金流入」がリーマンショック並みに落ち込んでマイナスに転じていること

その他にも投資・輸入・GDPも(リーマンショック並みとまではいかなくとも)落ち込んでいるということを根拠として示しています。

ですが、市場関係者の中でリーマンショック並みと言う見方をする人は少数派で、この説明は説得力が乏しいと言わざるを得ません。


リーマンショック並みな世界経済ならFRBは判断ミスを犯していることになる


伊勢志摩サミットでの安倍首相は大活躍でした。

そして経済においても、「アベノミクス3本の矢」の方向性が正しいという点で各国首脳と合意できたのは、このサミットにおける大きな収穫の一つと言えます。

ですが、前述したようにリーマンショック並みに世界経済が悪いかと言われれば、多少言いすぎな面があると思います。

例えば昨日アメリカ中央銀行(FRB⇒日本で言う日本銀行みたいなもの)のイエレン議長が「数か月のうちに金利を上げる可能性がある」と発言しています。

ですが、もし世界経済がリーマンショック並みと言うのであれば、このイエレン議長の発言は大変な判断ミスを犯しているという事になります。
※利上げとは景気が良い際に行わなければ、景気を冷やしてしまう可能性を秘めています。

ところが、この発言に関して「イエレン議長は判断ミスを犯している」と思っている人達は少数派であり、これはアメリカ景気が(比較的)好調であることを示しています。
※つまりは、世界経済がリーマンショック並みというのは多少言いすぎだという事になります。


都合の良い指標を用いれば、都合の良い結果が導ける


更には、安倍首相がリーマンショック並みだとする根拠に持ち出した「経済指標」というのは、日本では数十個存在し、世界であれば数百個・数千個存在します。

そして、これら経済指標は例え景気の良い時期であったとしても、何割かは悪い指標が示されます。
※逆に言うと、景気が悪い時でも、何割かは良い指標が示されます。

何が言いたいかというと、自身の都合の良い経済指標を集めてくれば、如何様にもシナリオが作れてしまうという事になります。

このことからも「リーマンショックな世界経済」というのは若干説得力に欠け、「消費増税延期」という結論ありきで、その結論に合うデータを探してきたという見方をされてもしょうがないのではないでしょうか?

そして、「消費増税延期=アベノミクス失敗」という方程式が連想されないよう、日本の景気が足踏みしている現状を世界経済のせいにしたいという思いがあるのだと思います。

※消費増税延期には賛成です。
※さらに踏み込んで増税凍結にまでしてほしいという考えです(関連記事⇒「消費低迷・景気は回復しない」)
※ただし、残念ながら増税は2年程度しか延期されないというのが一般的なコンセンサスです。

結論ありきなデータに注意せよ!


政府もエコノミストも、自身の主張を正当化するために、都合の良いデータを持ってきて理論を展開することが多いです。
ですが、一般国民はそれらに疎いため、ついつい「そういうものかな?」と思ってしまいます。

そして、それは仕方のないことであり、いくらリテラシーを高めようと思っても、自身でこれらを勉強するには限界があります(そして、勉強するメリットも乏しいです)。

なので重要となってくるのは、一人の専門家の話だけを(例えもっともらしい理論展開をしていたとしても)鵜呑みにせず、必ず複数の人達の意見を聞いてみることが重要です。
※例えば与党の言うことがもっともらしいと思っても、必ず野党の言うことにも耳を傾けてみるなど。

これは理学療法士・作業療法士の世界でも言えます。

物事には様々な側面があるので、一つの側面だけで分かった気になって傾倒してしまうのは危険です。
従って、どんな道を歩むにしても、様々な意見を吟味することが大切です。

特に主張を展開している人が、「そもそも普段からどの様なスタンスをとっているのか」にも注意を払っていたほうが良いでしょう。

そして、自身のスタンスからあえて外れるような意見と言うのは、個人的には非常に興味をそそられる意見であることが多いと感じます。
※例えば自民党が、自民党の政策を肯定するのは当然すぎて興味がわきません。そんな自民党が「あえて自身の政策の不備に言及している内容」は注目の価値がある情報と言えるでしょう。そして、その様なことを敢えて発言する人は信用できる場合が多いと感じます。

関連記事⇒『エビデンスの落とし穴




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