この記事では、理学・作業療法士が着目すべき「お金」に関して、「老後の貧困」という点にフォーカスを当てながら考察していこうと思います。

老後に必要なお金はどれくらい?


現在の高齢者は、「すでに貯金を使い果たしてしまった」「残り数十万円しか貯金がない」といった事態に陥っていることも多いと言われています。

そして当然のことではありますが、若者が貯金が少ないのと、高齢者が貯金が少ないのでは全く訳が違ってきます。
※例えば、急な病気にかかる率も高まるだろうし、既に病院通いな人も多いと思います。

では現実的に、老後の生活にはどれぐらいお金が必要なのでしょうか?

平成26年総務省「家計調査報告」によれば、高齢期の2人暮らし(高齢夫婦無職世帯の家計収支)の場合の1か月の生活費平均は、社会保険などを全て込みで約27万円とされています。

つまり、65歳になった時点で、仮に年金やその他の収入がつき21万円あったとしても、貯金額が300万円では約4年で底をついてしまうといった計算になります(毎月の不足分6万円を貯金の切り崩しで賄うとして×50か月で底をつくという計算)。

仮に1000万円なっても14年弱しかもたず、最終的に貧困に陥る可能性があるということになります。

皆さんは老後のために、計画的な貯蓄をしているでしょうか?


普通から貧困へ陥る4パターンを紹介!


ここからが記事の本題です。

高齢者が「普通」から「貧困」へ陥る代表的なパターンは以下のように言われています。
※そして、これらのパターンは誰にでも起こり得ることであり、いかに「普通な人」がた易く「貧困な人」に陥ってしまうかも示しています。

  1. 病気による高額な医療費の支払い

  2. 高齢者介護施設に入居できない
    ※体が不自由にも関わらず自宅生活を余儀なくされる
    ※あるいは公的な介護施設(特別養護老人ホームなど)に入居できない

  3. 子供がワーキングプア(年収200万円いか)や引きこもりで親によりかかる

  4. 増加する熟年離婚

この中で今回は③と④にフォーカスを当てて以下に解説していきます。


子供がワーキングプア(年収200万円いか)や引きこもりで親によりかる


昨今では「子供だから」親の介護をすることが当たり前の時代ではなくなってきています。

これは、医療・介護現場を目の当たりにしている理学・作業療法士さんにもイメージし易いのではないでしょうか?

つまり、昔に比べてわが子に自身の介護が(必ずしも)期待できない時代になってきていると言えます。
※かといって公的な介護施設にも入居しにくい時代でもあります。

そして更には、子供が自身の貧困の要因になってしまうケースもあったりします。

最近は不況によって非正規社員が増えてきており、「ワーキングプア」やブラック企業によって心身ともに消耗して「引きこもり」となってしまうケースも多いからです。

あるいはブラック企業を辞めることで難を逃れたとしても、再び正社員として雇ってもらえない可能性もあり、そういった傾向は「地方」で「30代後半から40代以降」であるほど顕著となるようです。

※ただ、アベノミクスや少子高齢化によって有効求人倍率も上がっており、人手不足が叫ばれるようになってきているので一概には言えないかもしれません。

増加する熟年離婚


熟年離婚は急速に増えつつあります。

厚生労働省の「平成25年人口動態統計月報年計の概況(P16)」によれば、20年以上連れ添った熟年夫婦が離婚する件数は1985年では2万434件だったのに対して、2013年には3万8034件と大幅に沿増加しています。
※ただし、グラフではH14年度が離婚のピークであり、そこからは下降している点はポジティブな要素かも知れません。


そして、この増加の要因は、女性が経済的に自立し易くなったことに加えて、これまでやむを得ず押し殺してきた夫に対する不満が、子育てをひと段落した高齢期に一気に噴出した結果ともされています。

今の高齢者は、そもそも「結婚するのが当たり前」な世代であり、生涯未婚率も現在ほど高くありません。

ですが、時代とともに結婚や夫婦のあり方に対する社会の価値観は大きく変化しています。

それにより60代前後になって意識的・無意識的に我慢していた不満が一気に噴出し、とくに積極的に離婚に踏み切るケースが増えてきています。


また、「慰謝料請求」「財産分配」「年金配分」を求める裁判離婚における変化も影響しています。

最近とは特に老後の資産を分けあう決定が出されるようになってきており、これは「女性が虐げられてきた」という部分が公正になってきたからだという意見もあります。

さらに女性弁護士が増え、昔は議題にすら上がらなかった問題や我慢を強いられた問題までもが浮き彫りにされてくるようになっており、これらも金銭を伴う形で裁かれるようになってきた影響もあるとされています。


なぜ離婚と貧困が結びつくのか?


それでは何故熟年離婚と貧困が結びつくのでしょう?

離婚による経済的な問題は、女性よりも男性に多くが付きまといます。

例えば「夫が会社員で妻が専業主婦だった場合の離婚」を考えてみます。
すると慰謝料の支払いのほか、子供が成人していない場合は養育費の支払い、さらに受給される年金も家族生活の貢献度合いによって折半となってしまうからです。
つまりは、よっぽど高齢者となってからも収入増の当てがない限り、これまでの生活レベルを大幅に下方修正せざる得ないとうことになります。
※もちろん、上記はあくまで例であり離婚原因など諸々によって変わってきます。



ただし、熟年離婚は男性だけでなく、女性も含めて双方にデメリットが出てきます。

例えば年金受給に関して、夫婦が2人合わせて年金受給が30万円の場合、裁判調停で労働割合が半々に認められれば、離婚後の受給額は一人当たり15万円となります。
※あくまで例えであり、厳密には半々にはなりません(要は、昔に比べると年金は厚生に分配されるようになっているということです)。


そして、離婚をすれば当然別世帯になるため、家賃や水道光熱費などの固定費がそれぞれの世帯にかかってくる点を考えた場合「収入が減るにもかかわらず、支出はあまり減らない」ということが起こり、実際には今までと同レベルの生活を維持できなくなってしまいます。

つまり、「同じ世帯にいながら2人で30万円で暮らす」のと「それぞれ別世帯で15万円で暮らす」のでは意味が異なってくるのです。

ただし、やはり熟年離婚をした場合、男性のほうがデメリットが大きいことが多いとされています。

つまり妻がつき15万円の生活費で暮らしていける人が多い一方で、(妻に頼りっきりだったことに起因する)生活力の乏しさが理由で夫は生活が苦しくなってしまう傾向にあるようです。

※もちろん、料理好きだったり、家事に協力的な夫もいるため一概には言えません。家庭を顧みず仕事一筋で働いてきた夫などが当てはまるのかもしれません。

※とくに中・高年男性の中には「家事は妻がやるもの」という価値観を持っている人が若い人よりは多いとされています。
※そうなると自炊ができず、出来合いの総菜や栄養バランスの偏った外食が増えたり、掃除をせずに生活環境が不衛生になることもあるようです。



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